不正指令電磁的記録、いわゆる「ウイルス」に関して、高木先生とやり取りして感じたことをまとめてみる。
高木先生は全国電話帳の件について、どこにも端末の電話帳が利用されることは記載されておらず、違法であると考えているようだが、
日本語には単数と複数の区別がなく指示語の曖昧さがあるので、「アプリ利用者」という単語だけでは、利用者個人をさすのか、全ての利用者全体を指すのか区別できない。Google Playのアプリ説明はアプリの一般的な解説を意図しているので、アプリ利用者は当該アプリを利用している全ての人間を指す可能性があり、個人を指すと断定することが出来ない。
アプリ利用者「本人の」、と補って解釈すれば他人のアドレス帳から検索できた時点で明らかに違法であり、「全員の」といれれば逆に合法の可能性がある。
高木先生は他の読み方はあり得ず、自分のような解釈をするのは頭がおかしい、と言われるが、不明確な用語の利用は高木先生も各種サービスの利用規約の問題点として指摘されている通り、一見問題無さそうな文章でも、解釈によっては悪用されうるということは、(すくなくともサービス開発や運用に携わる人には)一般的な認識になっていると思う。あるいは、そう願う。
他の解釈はあり得ない、という考え方は、一方的な断定であると思う。
全国電話帳アプリに利用者を騙す意図が有ったことは本人の言から明らかで、ソフトウェアの社会的信頼を毀損する意図が有ったことは明白だが、悪意と違法性はイコールではない。違法でなければ何をやってもいいという考え方は倫理的に好ましくないが、反社会的な悪意を直ちに違法と見なすことはより好ましくないと自分は考えている。
不正電磁記録はアプリ利用者の意図と反する挙動をするソフトウェアであって、「アプリが本来どのような動作をするべきか」を判断する際に立場によって解釈の相違が生じうる。
極端に解釈すれば、ソフトウェア解説が他言語で書かれていて、利用者が読めないにもかかわらず実行可能な場合はすべて不正電磁記録と見なすことさえ出来る。
アプリ利用者がどの程度の前提知識を持ち、どの程度アプリの解説を読み、どの程度の操作(同意ボタンなど)をもって同意と認めるのか。逆に言えば、どのような解説や規約・同意判定を実装すれば不正電磁記録に当たらないのかは、判例なり明確な判断基準が示され、実際に法廷で争われるまで分からない。
個人的に、この不正電磁記録の考え方は「法律の穴」と言っていいレベルの瑕疵だと思っている。
識者と目される方が、違法かどうかを判断する上で一方的な解釈のみを採用し、「解釈の相違」という法律の穴から目をそむけるような態度をとるのは、問題が有ると考えている。
現状、識者が悪意をもって「このアプリの挙動は私の解釈に反する」と告発すれば、大抵のソフトウェアは違法にできてしまえるのではないだろうか。
http://secroid.jp/d/e/a/c/info.jigensha.hellopage.html
https://twitter.com/cause_less/status/263678476920442880
について以前のエントリやツイートで書いたように、自分は全国電話帳のアプリ説明は誤認を誘導するために複数の読み方が出来るように書かれていると考えている。
https://twitter.com/cause_less/status/263678476920442880
について以前のエントリやツイートで書いたように、自分は全国電話帳のアプリ説明は誤認を誘導するために複数の読み方が出来るように書かれていると考えている。
アプリ利用者「本人の」、と補って解釈すれば他人のアドレス帳から検索できた時点で明らかに違法であり、「全員の」といれれば逆に合法の可能性がある。
他の解釈はあり得ない、という考え方は、一方的な断定であると思う。
極端に解釈すれば、ソフトウェア解説が他言語で書かれていて、利用者が読めないにもかかわらず実行可能な場合はすべて不正電磁記録と見なすことさえ出来る。
アプリ利用者がどの程度の前提知識を持ち、どの程度アプリの解説を読み、どの程度の操作(同意ボタンなど)をもって同意と認めるのか。逆に言えば、どのような解説や規約・同意判定を実装すれば不正電磁記録に当たらないのかは、判例なり明確な判断基準が示され、実際に法廷で争われるまで分からない。
個人的に、この不正電磁記録の考え方は「法律の穴」と言っていいレベルの瑕疵だと思っている。
現状、識者が悪意をもって「このアプリの挙動は私の解釈に反する」と告発すれば、大抵のソフトウェアは違法にできてしまえるのではないだろうか。