2012年09月10日

Bitcoinの追跡可能性となぜ資金洗浄に利用できるかの解説

Bitcoinの取引所がクラックされ、bitcoinが不正に送金され盗難した。
盗難したbitcoinは回収されうるだろうか?結論としては、無理だと思う。bitcoinは追跡可能だが、資金洗浄は排除できない。

なぜbitcoinは不正な送金や資金洗浄に利用されうるのか。bitcoinwikiなどには詳細に書かれていないようなので解説してみる。

Bitcoinのシステムとしては

・ユーザーがWalletIDという秘密鍵を持つ
・秘密鍵から使い捨ての公開アドレスを生成する(公開アドレスに対応するWalletIDはわからない)
・だれでも公開アドレスに送金できる
・だれでも公開アドレスの収支バランス(残金)が確認できる
・だれでも公開アドレス間の送金が確認できる
・秘密鍵を持つ人だけが公開アドレスから送金できる

という基本原理で成り立っている。この原理を維持するために、ハッシュのツリーまたはチェーンを分散生成するシステムが構築されている。ここの原理はまた別に書きたい。(書いた。 Bitcoinの一貫性維持の原理について http://causeless.seesaa.net/article/292069372.html)

このシステムは、だれでも匿名の財布を持つことを許す(匿名性)を実現する一方で、追跡不可能性を保証しない。
すべての送金を監視すれば、例えば不正にBitcoin資金を得た公開アドレスから、Bitcoinの流れを追跡することが出来る。
そういう意味で、資金洗浄としてBitcoinの追跡不可能性は不十分。しかし、実際に資金洗浄というか違法薬物などの不正送金に使われているらしい。

Bitcoinが資金洗浄として有用な理由は、誰が汚れたBitcoinを判断するのか不明確であることが重要になる。
これは中央集権的な権威をもたないBitcoinの特性上の利点であり欠点である。

Bitcoinのシステムの外で、たとえば秘密鍵をハッキングで盗みだすような形で"不正に"取得されたbitcoinと、普通のbitcoinをbitcoinシステムは区別することができない。誰かが、ある公開アドレスに送金されたbitcoinは不正取得されたものだと主張しても、その公開アドレスとの取引を制限したり、bitcoinを没収する権限は誰も持たないからだ。

slashdotには以下のように書いた
今回流出したBitcoinを追跡し、汚れたBitcoinを現金化した人が犯人、現金等で購入した人が資金提供者、と推定することは可能です。操作の糸口にはなるでしょう。ですが、汚れたBitcoinを排除するのは難しいと思います。

Bitcoinは追跡不可能性は提供しません。Bitcoinでは使い捨ての公開アドレス毎に収支バランスが広報される仕組みになっています。もちろんアドレスから支払いができるのはそのアドレスを生成したプライベートキーを持っている人だけですが、資金移動を追跡することは可能です。Bitfloorの使用しうるアドレスはBitfloorが知っている(侵入で削除されてなければ)ので、どのBitcoinアドレスに送られたかわかります。トラフィックを継続的に監視して、汚れたBitcoinを持っているアドレスのリストを作り公表できるなら、良識ある利用者はそのアドレスとの取引を拒否するかもしれません。

しかし、Bitcoinには権威ある中央が無いので、汚れたBitcoinを市場取引から除外するような機能がありません。例えばアメリカの銀行に入っている汚れた資金ならアメリカ政府がその資金を没収できますが、そういったシステムが作れません。したがって、この事件を知らない多数の人間が汚れたBitcoinを受け取り、使用したからといって、それを汚れているからと拒否させることはできません。(自分のポリシーとして取引しない、ということは可能)

主要な取引所で協定を結ぶなどして、汚れたBitcoinを受け取らない仕組みを作ることは可能かもしれません。ですが、その協定外での取引を規制する方法はありません。汚れても気にしない人が集うBitcoin界のブラックマーケットが出来るだけです。また、推定されているBitcoin利用の違法取引の市場規模を見ると、大手取引所経由で買われるBitcoinの少なくない部分が違法購入に使われ、売られるBitcoinのいくらかは違法販売収入と考えられるので、全ての取引所が排除に合意できるかは疑問です。今回盗まれたBitcoinも結局取引所経由で現金化されるのでは?

今直ぐ主要な取引所が、悪用された公開アドレスとの取引に注意するよう声明なり警告なりを出せば、不正な資金洗浄を遅らせることが出来るかもしれない。しかし、bitcoinのユーザの全てが取引所の方針に従わない限り、資金洗浄コストが増えるだけで汚れたbitcoinを排除することはできない。

今後、bitcoin取引所の中には、取引所が認定した不正Bitcoinと悪用されたアドレスをブラックリスト化して、該当するbitcoinを受けいれない、あるいは警察に通報するような、トランザクション監視とブラックリスト作成を実装した、"取引所にとって安全な”取引所が出来るかもしれない。けれど、自分が持っているbitcoinがブラックリストに乗っているか判断するのは、全てのトランザクションをチェックしていない一般利用者には不可能であり、一般利用者にとってはかえってリスクの高い取引所で取引したい人は限られるだろう。結局、取引所はそんな監視をしないほうが良い。

単純に取引所の存在する国の法律との兼ね合いになり、過剰に仮想通貨取引を規制すれば海外に取引所が移転するだけだろう。


posted by ko-zu at 22:47| Comment(0) | TrackBack(0) | Bitcoin | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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